相続が開始すると、原則として亡くなった方が所有していた財産すべてが相続財産となります。

では、亡くなった方が猫や犬などのペットを飼っていた場合、法律上どのような扱いがされるかについて解説いたします。

ペットは大切な家族ですが、

法的に権利・義務の主体となることができるのは、人または法人のみであり、動物は物(動産)として扱われます。

そのため、土地や建物、車などの財産と同様に遺産分割協議の対象となり、相続人の誰が相続するか、話し合いで決定することとなります。

では、民法上「物」として扱われるペットですが、相続人全員が相続を拒否し、誰も引き取らない場合に、遺棄されてしまうなどの恐れがあります。いくら権利のない存在とはいえ、命ある大切なペットがそのような扱いを受けるのはかわいそうです。

そのため、ペットを守る法律として、動物愛護管理法というものがあり、違反した人は懲役刑や罰金刑に処せられます。

動物の愛護及び管理に関する法律 44条

1 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する。

3 愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

4 前3項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。

 一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる

 二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの

誰も相続できる人がいない場合は、知人などのペットを引き取ってくれる第3者を探す必要があり、それでも難しい場合は自治体などに相談をしなければなりません。

また、亡くなった方が生前に遺言書を作成していて、誰に相続させるか記載がある場合は、遺言書が優先されます。

自分の死後、大切なペットの将来に不安がある方は、遺言書で誰に所有権を帰属させるか指定したり、負担付遺贈((例)「息子〇〇に、△△銀行の預金を取得させる代わりに、猫ちーちゃんについて、大切に世話を行うこと。」)の文言を入れるなどして、対策を行うことも可能です。